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データセンター建設で注目の電気系資格|電気工事士・電験・施工管理の違い

変電設備の碍子(がいし)

結論

データセンターの仕事に電気系の資格で関わる道は、大きく「建設時に電気設備をつくる仕事」と「稼働後に設備を守る仕事」に分かれます。建設時は電気工事士と電気工事施工管理技士、稼働後は電気主任技術者(電験)が代表的な資格です。

ただし、どの資格が必要かは設備の規模や電圧、会社の採用条件で変わります。法律で決まっている資格の範囲と、求人が求める条件を分けて確認することが大切です。

データセンターを支える電気設備

データセンターは、大量のサーバーを24時間止めずに動かすための建物です。生成AIの計算にも多くのサーバーが使われます。サーバーそのものに加えて、電気を受け取る設備、停電に備える設備、熱を逃がす設備が組み合わさって動いています。

受変電設備
電力会社から高い電圧で電気を受け取り、建物の中で使える電圧に下げる設備です。規模の大きい施設では、特別高圧(7,000ボルトを超える電圧)で受電することもあります。
UPS(無停電電源装置)
停電や瞬間的な電圧の低下が起きたときに、蓄電池などからサーバーへ電気を送り続ける装置です。
非常用発電機
長い停電に備えて、燃料で発電する設備です。UPSが電気をつないでいる間に起動します。
冷却設備
サーバーが出す熱を取り除く空調・冷却の設備です。これを動かすためにも多くの電気を使います。

これらの設備を「つくる」「止めずに動かす」ために、電気の資格を持つ技術者が関わります。どの資格がどの仕事に対応するかは、後半の比較表で整理します。

電力需要の見通し(予測と実績を分けて読む)

電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、毎年、全国の電力需要の見通しを公表しています。2026年1月21日に公表された「2026年度 全国及び供給区域ごとの需要想定」の数字を、実績と予測に分けて見てみます。

全国の最大需要電力(夏季・送電端)
年度区分最大需要電力
2025年度実績15,881.5万kW(前年度比+0.8%)
2026年度想定(予測)15,962.6万kW(2025年度実績比+0.5%)
2035年度想定(予測)16,460.1万kW(2025〜2035年度の平均+0.4%)

2026年度の増加について、OCCTOは「節電・省エネの影響は続く一方で、経済成長とデータセンター・半導体工場の新増設で需要が増える」と説明しています。データセンターと半導体工場の新増設分は、通常の予測式とは別に上乗せ(個別計上)されており、最大需要電力で2030年度に420万kW、2035年度に762万kWです。このうちデータセンター分は2035年度で661万kWを占めます。

ただし、2026年度以降の数字はすべて予測です。前回の想定と比べると、主にデータセンターの工事の延期・遅れや設計変更によって、需要の伸びが後の年度へずれ込んでいると説明されています。OCCTO自身も、社会情勢によっては想定と実際の需要が大きく離れる可能性があるとしています。データセンターの増加は電気の仕事にとって追い風ですが、計画どおりに進むとは限らない点も押さえておきましょう。

建設時と稼働後で変わる仕事

建設時: 電気設備をつくる

新築や増設の現場では、受変電設備、UPS、非常用発電機、幹線やケーブルの敷設などの工事が行われます。現場で電気工事の作業をするのが電気工事士、工程・品質・安全を管理するのが電気工事施工管理技士の主な役割です。発注者の側で、必要な容量を計算したり仕様書をまとめたりする設計・技術支援の仕事もあります。

稼働後: 設備を止めずに守る

稼働後は、電気設備の点検・監視、トラブルへの対応、設備の更新計画などが中心になります。高圧以上で受電する施設では、保安の監督をする電気主任技術者を選任することが電気事業法で求められています。24時間動き続ける施設なので、職場によっては交代勤務や夜間の対応があります。勤務の形は求人ごとに確認してください。

3つの資格の違い

法律で決められている範囲をもとに、3つの資格を比べます。試験日程は各資格の日程ページで確認できます。

電気工事士・電気主任技術者・電気工事施工管理技士の比較
項目電気工事士電気主任技術者(電験)電気工事施工管理技士
主な役割電気工事の作業を行う事業用電気工作物の工事・維持・運用について保安の監督をする電気工事の施工計画・工程・品質・安全を管理する
法律上の範囲第二種: 一般用電気工作物等(住宅や小規模な店舗など)。第一種: それに加えて最大電力500kW未満の自家用電気工作物(需要設備)第三種: 電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千kW以上の発電所を除く)。第二種: 17万ボルト未満。第一種: すべて2級: 一般建設業の営業所の専任技術者や、現場の主任技術者になれる。1級は監理技術者にもなれる
試験学科試験と技能試験(実技)第三種は理論・電力・機械・法規の4科目。科目合格の制度あり第一次検定と第二次検定(記述式)
受験の条件制限なし(第一種は免状の交付に実務経験が必要)制限なし2級の第一次検定は17歳以上。第二次検定は実務経験が必要
主に関わる時期建設時(工事)稼働後(保安)建設時(施工管理)
試験日程第二種 / 第一種第三種(電験三種)2級 / 1級

表を読むときの注意

公開求人で求められる条件を確かめる

実際にどんな資格や経験が求められるかは、会社や職種によって大きく違います。2026年9月27日に公開されていた求人を2つ例に挙げます。どちらも1社の1つの募集で、業界全体の傾向や人数・年収の水準を示すものではありません。

KDDIエンジニアリング「電力インフラPM(発注者側)」

ネットワークセンターやデータセンターの電力設備について、発注者の立場から容量設計や仕様書の作成、見積の精査などの技術支援をする仕事です。対象の設備として、特別高圧の変圧器、非常用発電機、UPSが挙げられています。必須条件は電力分野の基礎知識と、電力設備の設計やプロジェクト管理などの経験3年以上で、資格は必須ではありません。電気主任技術者・1級電気工事施工管理技士・第一種電気工事士は歓迎条件です。

NTTデータ先端技術「データセンター電気設備設計技術者」

データセンターの高低圧の受電設備や無停電電源装置、蓄電池などの改修工事について、設計・積算・監理をする仕事です。こちらは1級電気工事施工管理技士または第一種電気工事士の資格と、関連する経験が必須で、電気主任技術者は歓迎条件です。

同じデータセンターの電気設備の仕事でも、資格を必須にする求人と、経験を重視する求人があります。求人を見るときは、必須と歓迎の区別、担当する設備(受変電・UPS・発電機など)、発注者側か工事・保守の側か、勤務の形(日勤か交代勤務か)を確認しましょう。

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未経験者と経験者の入り口

電気の仕事が未経験の人

まず第二種電気工事士で、電気の基礎と工事の作業を身につけるのが一つの方法です。受験資格の制限がなく、学科と技能の対策を通して、配線や器具の扱いを実際に手で覚えられます。ただし、データセンターの設備の多くは第二種の範囲を超えるため、その先に第一種電気工事士、電験三種、施工管理技士のどれを目指すかを、関わりたい仕事に合わせて決めることになります。

電験三種も受験資格の制限はありません。第二種電気工事士を取ってから電験三種に進む人もいますが、決まった順番ではありません。数学や電気理論の勉強に時間をかけられるなら、電験三種から始める道もあります。

電気工事や設備の仕事の経験がある人

現場で電気工事をしてきた人は、第一種電気工事士や電気工事施工管理技士で、担当できる範囲や立場を広げる道があります。施工管理技士の第二次検定には実務経験が必要なので、経験年数と受検資格を先に確認してください。電気工事士や電験の試験に合格している人は、必要な実務経験の年数が短くなる場合があります。ビルや工場の設備管理の経験がある人は、電験三種で保安の仕事に進む選択肢があります。

AIの普及で、電気の仕事のうち何がAIに任せられ何が人に残るのかは、AIに代替されにくい資格7選で整理しています。電気以外の分野もあわせて比べたい人は参考にしてください。

次に調べること

目指す資格が決まったら、試験日程と勉強方法を確認しましょう。

電験三種と第二種電気工事士のどちらから始めるか迷っている人は、仕事内容と勉強の違いを比べた記事も参考にしてください。

電験三種と電工二種の違いを見る →

出典・参考にした公式情報